2006年05月27日

デジタル製品にはなぜ愛着がわきにくいのか?? ー完結編ー

前回までのあらすじ

当然、上がり続けるハードルを越える事など不可能です。その時に使うのが過去の製品の切り捨て、付加価値の追加、もしくは製品のシフトです(これを逆手に取れば自ら「ハードル」を高める事でブランド価値を向上させるといった発想も可能かもしれません)。
performa6400.jpg


さて、前回の続きです。この後に続く文面はあくまで仮説であり、私見ですのでご了承頂いた上でお読み下さい。あと、この文面は如何なる企業も中傷をしておりません。


アナログ時代と比較してデジタル製品の時代に入ってこのハードルの高さの変化が非常に分かりやすくなりましたし、技術力の向上と共にそのサイクルが速くなりました。

サイクルが速くなった事で製品のライフサイクルの速度も昔とは比べ物にならないほどになりました。その分、新たな革新的機能の開拓に求められる速度も異常なほど速くなります。しかし、現実にはそうそう都合よく新しい革新的な機能を創造する事なぞ簡単には出来ません(ここがハードルが高くなり過ぎる事で越えられなくなる部分です)。そのため現在のデジタル製品の多くが製品の本質(基本機能)は何も変わっていないのに、ほんの少しだけ本質にエッセンス(付加価値)を加えただけの様な製品が「姿」を変えて世に氾濫しました。

nec233.jpg


外観は非常にクリエイティブに映るその活動も本質は外側の殻を張り替えただけにしか過ぎないのかもしれません。しかし、そのほんの少しの変化だけでは、いつかは製品が停滞してしまいます(ブランディングを通じて顧客が求めるハードルの高さを企業が常に越える事が出来れば良いのですが、現実には発達の進展速度には限界があり、革新的な技術の登場まで食いつながなければならないという状況が生まれる)ので利益の流入に繋げる為にいよいよ過去の資産の切り捨て、もしくはシフトをさせることで利益の流入を確保することになります(わかりやすくパソコンで言うとOSを変えてしまうとかCPUを変えてしまうと言う事です)。

intel p4 Northwood wafer 013 micro.jpg


さて、理屈っぽい事を長々と書きましたが、平たく言いますと、一つは企業側の側面として、ハードルが速いサイクルで上がり続ける事で基本機能に対する技術向上が追いつかない。しかし、革新的な基本機能に対する技術が登場するまでの期間も利益を生み続けなければならないため現行製品を「切り捨てる」「付加価値を与える」「シフトする」ことで収益サイクルを構築し直すことになります(既にその技術が成熟しているため新しい製品が登場しても需要が生まれにくい、という事も考えられます。それならば、需要が生まれる状況を作り出してしまうという事です)。

もう一つ顧客側の側面としてハードルが変化する速度が顧客にとってあまりにも速いため(常に変化を強いられるため)に「買い替え」といった消耗品的な扱いが前提となりやすい状況が生まれ、まるで消耗品の様にデジタル製品に愛着を持たない、もしくは持てないということも考えられます。そして、単純に愛着を持つに値する魅力的な製品が少ない事も考えられます。

さらに現在では外部要因としてネットを通して情報が誰でも簡単に手に入る様になった御陰で目移りも頻繁にする様になりましたし、所有している製品のモデルチェンジが数ヶ月で来るのですからこれではどうしても「見劣りしてしまう...」といった感情も生まれるでしょう。

これらがデジタル製品には愛着が湧きにくい、デジタル製品はすぐ飽きる...といったことの要因なのかもしれません。

Sony_dvd.jpg


あくまで私見なのですが「愛着」とは、いかにその人の嗜好や体型などを含めた要素に「フィット」しているかどうか。そして、より愛着が湧くための期間(愛する為の時間)が重要だと思うのですが、あなたは如何思われますか??

これらの事を踏まえて考えるとメーカーは製品のライフサイクルをしっかりと見直す事が非常に重要になって来ると思いますし、ブランディングを通しての製品の情報流通管理をしっかりと行ない一定の期間をかけて自社製品に愛着を持ってもらう(愛してもらう)事が重要になって来ます。それが結果として固定顧客(ファン)を生み出す事にも繋がるのだと思います(Appleで例えるなら現在のMacファンやiPodファンは自分の所有している製品に愛着を持つだけの期間[時間]が存在していたと思われます。そして、Appleの執拗なまでの情報漏洩管理は愛着を持ってもらう事を直接の目的にしているかどうかは別にして、結果的にはユーザに愛着を持って貰う為の時間稼ぎにも繋がっているのでしょう)。

ipodshuffle_lifestyle.jpg


しかし、これらの状況は利益を生み出す為のマーケットが、さらにより多くの利益を求めて日々肥大化している様に感じます。なぜこの様な状況が生まれてしまったのでしょうか?一つは売るためのマーケティング技術の向上があります。現在では心理学、生理学などを応用し常にあなたの欲求を刺激するような技術も存在しています。

そして、もう一つはわたしやあたなを含め全ての人々が現在の巨大な経済活動の中で営みを持っていると言う事です。わたしやあなたは何らかの商品(サービス)の提供者であり、消費者でもあるのです。経済活動は分断される事はありません。常に必ずどこかの経済活動に繋がり吸収されて行くのです。つまり巨大なサイクルがとどまる事無く常に回り続けているのです。そして、それを回しているのがわたしでありあなたです。


話がかなりずれてしまいましたが、わたしたちはその製品が本当に必要なのかどうか、自身の消費活動を今一度冷静に見つめ直さないと行けないのかもしれません。そして、あまりにも速すぎる製品ライフサイクルとそれらが氾濫している事に対し企業を非難をするべき時はしっかりと行なわなければならないと思います。(現在、米国では消費者の異常なまでの消費活動が一種の依存症、脳の病気として社会問題となっています)

iMacが粗大ゴミに.jpg


そう言えば最近Appleがコンピューターの無償引き取りプログラムを発表しました。しかし、直後の株主総会ではリサイクルプログラムの目標数値を義務づける株主提案が否決されてしまいました。

さて、Appleも企業です。利益を得なければそこに職を得ている社員の生活が成り立ちません。そして、Appleという集団も成長する事が出来ません。さらに、株式公開企業には株主という頭の上がらない存在があり、株主への利益配分は米国のカルチャーでは必須です。しかし、Appleだけに限らず、その過程において様々なものを取りこぼしたり、成長の為に脱ぎ捨てて行ったものが沢山あります。消費があれば、その反対側では利益が生まれます。それらをどの様に、人に例えれば人間性豊かな方法で社会に還元出来るカタチにするのか。今後とも一顧客として見守りたいと思います(笑)。

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追記
デジタル製品には、なぜ愛着がわきにくいのか?から始まった内容が最後には経済活動全体の話にまで及んでしまい大幅に話がずれて終わってしまいました(大脂汗)。

特にパソコンに言及せずに話を進めて来たつもりですが、あえてパソコンに関して言うならば車の様に製品が成熟しCPUの性能やGPUの性能も特に関係がないぐらいの状況になってくれば、多くの人々にとってパソコンも非常に愛着の湧く存在になって行くのかもしれません(笑)。Macに関して言うならばその特殊とも言える状況故に既に多くの方々に愛されて来たのは非常に幸運だったのかもしれません。

最後にわたしもこれだけ偉そうな事を書いておいてIntel iMacとMacBookどちらに買い替えるのが良いか悩んでいる時点で全く説得力がありませんねぇ(汗)...

新製品に買い替える度に「もう買い替えはしない」と思ってはいるのですが(汗)。Macを買い替えたら深く愛し合うためにも最低1年間ネットやMac系雑誌は見ないのが一番なんでしょうね(爆)...

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