2006年07月13日

地球が何を求めているのか

それを敏感に感じ取る仕事が、私はこれからのエンジニアには求められてくると思っています。
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と話されているのは株式会社 東洋理化学研究所 代表取締役 本合 邦彦氏がTech総研のインタビューにて答えた言葉。

すっ、素晴らしいっっっっっ(感動の号泣)!!本当に素晴らしい言葉ですっっっ!!わたくしも是非こんな社長と仕事がしてみたいですっっっ(笑)!!

さて、あまりにも素晴らしい言葉をお話しになっていたので思わず興奮してしまいましたが株式会社 東洋理化学研究所は昨年のワールドビジネスサテライトでの取材などでもご存知な方がおられると思いますがiPod本体裏のあの美しく輝くステンレスを加工制作されている企業です。

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株式会社 東洋理化学研究所の所在地は新潟県燕市。わたくしの「うろ覚え」では(爆)、金属加工技術で知られている町だったかと思います(笑)。

そもそもAppleとの出会いは初代「PowerBook G4(Ti)」の開発を行う為に金属加工で高い技術力を持った企業を探し求めていた際、Appleのデザイン担当副社長のJonathan Ive氏がヨーロッパ旅行で偶然手にしたチタン製の外装を持ったカメラが切っ掛けだとTech総研のインタビューで説明されています。

当時、Appleはチタン製カメラのチタンの制作を行った企業を探すのに非常に苦労をした様です。現実に当時のわたくしも「Appleが次期製品のために金属加工技術が優れた企業を日本で必死に探している。」と聞き、その時に噂にあがっていた企業が株式会社 東洋理化学研究所でした(当時のわたくしもなんでそんな話を聞いたのかよく覚えておりません[汗&笑]...)...

「1枚のチタンの厚さは0.4 mmです。狂気の沙汰ですよ。聞けば、部品のことなど何も考えずにデザインから決めてしまったという。しかし、なんとも美しいデザインでした。」とは恐らくPowerBook G4だと思われる図面を見た際の代表取締役 本合 邦彦氏の言葉。この話を聞いているとAppleの開発陣が如何に「想いが先に有り」でモノ作りに関わっているのかがよく見えてきます(笑)。さらに本合 邦彦氏もその図面を見た瞬間に惹かれているとは良い出会いですね(笑)。

powerbook-g4.jpg


「数日も経たないうちに、すぐに設計エンジニア十数人を大挙して送り込んできたんです。サンプルがほしい、と。」「彼らがホテルに帰った夜から、私たちは金型づくりを始めました。あのときに集まった社員たちの晴れ晴れとした顔といったらなかった。それはもううれしそうでした。私はそれが何よりもうれしかった。」

集団のモチベーションを保つのも、それを形成するのも非常に難しいです。しかし、ここではチャレンジすることに熱い想いを持っておられる方々が登場しています。

「そして1週間でサンプルができてしまった。今度はアメリカの本社が驚く番でした。これほど短期間で、よくもできた、と。あなた方は我々の重要なパートナーとして位置づけたい、と。この後生まれたパソコンは、100万台の大ヒットになりました。」結果的にAppleの熱い想いに対して東洋理化学研究所の方々も熱い想いでおえた。これこそ本当のパートナーシップですね(感動)。

この他にもiMac G4の液晶部分と本体部分をつなぐ可変ジョイントアームの設計自体も本合 邦彦氏自身が行われるなど非常に深いつながりを持った関係になっていった様です。

iMac-G4.jpg


このインタビューを読んでいて気が付いたのは本合 邦彦氏が非常に感性の優れた経営者であり、技術者であるということです。チタンの加工に関する部分でも「80年代中盤、日本人の8割が中流意識を持つというデータが出ました。こうなれば、次は高級品志向だと私は想像しました。ならば、安っぽい素材はありえない。しかも、まだ世に出ていない素材。思い浮かんだのが、チタンでした。」「チタン成形はいろいろな産業に使えると考えたが、まずはチタンという素材を広める必要があると、最もインパクトのある商品で採用されることを狙った。それが、加工が最も難しいとされたカメラだった。」と述べられており、それから10年以上経ってVaio 505の登場からその状況が現実となります。彼は先を見据えたマーケティングの才能もお持ちなのが理解出来ます。

私事で恐縮なのですが、わたくしはよく「ビジネスは恋愛だ」と言っています。なぜその様にいうのかと言いますと皆さんもご存知のようにビジネスも先方との「相性」が良くなければ、最高の過程も最高の結果も生み出すことが出来ないからです。ここで登場した方々は見事に「恋愛」されていたと思います(笑)。そして、見事に「パートナーシップ」で結びついています。これは本当に素晴らしいことです。1+1が2ではなく「1+1=10」になっているわけです(笑)。



これからも東洋理化学研究所の方々がワクワクする素晴らしいモノ作りを見せてゆかれることを期待しております(笑)。

追記
話はずれてしまうのですが、今回の記事の「聞けば、部品のことなど何も考えずにデザインから決めてしまった」の部分を読んでいると近年のApple製品は「美しさ」を優先するあまり、廃熱、強度などの実用面と美しさの両方のバランスを取る発想が結果において失われているのではないのか(開発陣の方々はそんなつもりは無いと思われますが)...とも思えます...

初代PowerBook G4もそうですし、iMac G5や現在ではMacBook ProやMacBookで廃熱が原因となっているトラブルが絶えず続いています...最近あったアップルコンピュータ(株)への取材では「PowerPCでは廃熱に問題が有りましたがIntel Core Duoでは速度が5倍になり熱問題も解決され価格も安くなりました。」と販売担当の方が発言されていますが、この言葉と現実に巷でユーザに起こっていることとの間には温度差がある様に思えてなりません...

以前の2代目PowerBook G3(Main Street)から後期PowerBook G3(Pismo)までの設計の変化(筐体の薄型化)は素晴らしく目を見張るものがありました。恐らくこの時、後期PowerBook G3(Pismo)で築き上げたハードルを初代PowerBook G4以降、常に超えなければならなくなった為に現在の状況を生み出してしまっているとも思えて来ます。

WallStreet.jpg

(Wall Street)
powerbook-g3.jpg

(Lombard。Wall Streetより20%薄型化された)

Appleにはこういった現状起こっている問題に対してもっと積極的にオープンな姿勢を取りユーザとの間に信頼関係を築いて欲しいと思います。今のAppleに足りないのは明らかにユーザとの間のアフターケアに関する関係作りだと思われます(購入後トラブルの無い製品作りも含めることになると思いますが)。あとは現状をふまえていない販売担当の方の発言でしょうか(もしかすると本当に知らないだけかもしれませんが、それはそれで問題です)...

apple-store.jpg

(最近、Apple Store全店で始まったキャッチコピー。これは良いことです。口先だけでない血のしっかり通った行動を期待しております[笑])

とにかくユーザが商品を購入している以上、その対価を元に自身の生活が成り立っていることをAppleは忘れてはなりません(かといってお金を払っているのはこちらだと、ユーザ側が威張り散らすのは論外です...そもそもどちらの人間も常に提供者であり消費者でもあるのです。目の前で接客してくれている店員さんが翌日には自身のお客さんになる。つまり循環社会だと言う事を忘れないでおきましょう)。今後ユーザと一体になって問題を乗り越える姿勢を示せるようになれば、また一歩企業として成長したのだと思える様になるのかもしれません(笑)。

Tech総研- 5000万台ヒット『iPod』鏡面外装を生み出した本合邦彦

株式会社 東洋理化学研究所

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当Blog-デジタル製品にはなぜ愛着がわきにくいのか?? ー完結編ー

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posted by 賀川和之 at 03:29| Comment(2) | TrackBack(0) | Technology | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
デザインありきの商品であるからこそAppleなのですが、
おっしゃる通りバランスが大事ですね。
MacuserさんのiMacも含めて様々な不具合が円滑に
解決されることを心待ちにしてます。
それにしても、このTech総研の記事は読んでいても
楽しかったです。
Posted by Sumac at 2006年07月13日 19:45
Sumacさん、どうもです(笑)!!
わたくしがiMacって良くご存知ですねぇ(ビックリ)...
本当に廃熱関連の問題はAppleだけの問題で無いのは
それとなく分かります(笑)。本当に円滑に解決されて
行くことが多くのユーザの方々のためになると思います(笑)。

本当にあの記事は楽しかったですねぇ(笑)。
Posted by macuser at 2006年07月14日 00:20
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