photo by Mike Deerkoski
ティム・クックことクック船長は苦悩に苛まれている。それは山の如くあるのだが、その一つに生前ジョブズから頼まれたフィル・シラーのダイエットがある。しかし、ジョブズが去ってから4年が経とうとしている今も、それが成功する気配は無い。
そんな、クック船長に新たな苦悩が加わった。それはUCLAの心理学者チームのテストによってAppleロゴがテストに参加した85人中1人しか正確に描けなかったことだ。
Apple製品のパッケージを開封すると必ずAppleロゴシールが封入されているにも関わらず、この結果が現れたことに「何で85人なんて中途半端な人数でテストしたんだ!?」と感じつつ、クック船長は自身の航海が荒波に満ちていることを改めて実感した。
この事を受けてクック船長は早速緊急ミーティングを開いた。議題は勿論Appleロゴを正確に描けるユーザを増やすことだ。ミーティングではプクプクと気球か風船かと見紛うフィル・シラーが最初にアイデアを放った。
「Appleロゴシールの枚数を増やせば良いんじゃないかなぁ?」指先までプクプクとしたフィル・シラーが身振りを交えながらミーティングに参加したメンバーに語りかけた。
その発言を受けてジョナサン・アイブが「枚数を増やすだけでロゴが描ける様になるなんて…」ホッソリした指を宿した両手を左右に大きく開けながら首を小刻みに左右に振って発言していた。下唇を中心にこれでもか、と言わんばかりに前に突き出している様はフィル・シラーをさらに膨らませるには十分な行為だった。
そんな二人の様子を見てクック船長は「ジョニー(ジョナサン・アイブの愛称)、お願いだからフィルを、これ以上膨らませないでくれ…見ていて辛いんだ…」と懸命に喉の奥を小さく振るわせながら伝えた。
彼の痛々しい様子と言葉を受けてミーティングに参加したメンバーの多くが溜め息まじりにジョナサン・アイブへ嗜めるかの様な視線を送った。その視線を受けてホッソリとした彼のあらゆるラインがさらに痩せ細ったかどうかは定かではないし、ましてやフィル・シラーが、クック船長の言葉を聞いて萎んだのかどうかは特に気にしないでおこう。
場の空気を変えるかの様に咳払いをしながらクック船長が自ら発言をした。「現在、開発中の製品デザインをAppleロゴデザインに変更してはどうだろう?」無防備に汚れを感じさせない笑顔を皆に向けながら彼の言葉は、その受取手を求めてミーティングルームを舞い続けた。しかし、それは実現されぬまま舞い落ちた。
先程までジョナサン・アイブを嗜める視線を送っていたメンバーの多くが「何てことを言うんだ!」とばかりに今度は自らジョナサン・アイブの如く両手を大きく左右に広げながら首を小刻みに左右に振りつつ下唇をこれ以上は無いというほど前に突き出していた。一部のメンバーはあまりにも小刻みに首を振る為に口の中から何とも現せない音を発しているものもいた。
「みんな、総帥(スティーブ・ジョブズ)がいたころはCEOに向かってこんな事はしなかったのに、なんてフレンドリーな雰囲気になったんだ!」顔をほころばせながら、その場において適切なのか不適切なのか、そもそも全く関係が無いとも言える言葉を胸に秘めつつクック船長は新たな発言を放った。
「そうだ!iOSのロック解除画面でAppleロゴが正確に描ければロック解除というのは、どうだろう?」その場に居合わせた多くのメンバーは今度は目を輝かせながらリスが必死になって木の実を齧っているかの様に首を立てに振っていた。
ジョナサン・アイブにからかわれて膨らんだ時よりは多少はマシに映るフィル・シラーがクック船長のアイデアをサポートする様に、さらにアイデアを追加した。
「それは良いね!だったらApple Storeの講習会にAppleロゴお絵描き講座を追加するのはどうだ?」あまりにも珍しく全うな発言をするフィルの様子に驚いたメンバー達が「おおっっっ!」と感嘆の声を上げた。
「じゃぁ、虹色Appleロゴが描ける様にもなりたいねぇ!」ジョニーが目を輝かせながら楽しそうに発言していた。そこへ”良いこと言ったのは俺だ!”とでも言いだしそうな勢いでフィル・シラーが「俺だったら初期のAppleロゴ描いてみたいね!」と既に張り出している胸をさらに張り出す様に発言した。
それを聴いたクック船長やジョナサン・アイブを含めた全員が血の気の引いた顔で閉じることを忘れたかの様に口を大きく開けたままフィルへ視線を向けた。
「あれ描きたいのか?マジか?マジなのか!?」皆が心中で訴えながら口を閉じることを忘れたまま互いの顔を確認しあっていた。
そもそもユーザが85人中1人しかAppleロゴが描けないことを議題にしていたはずのミーティングは、いつの間にかAppleロゴお絵描き講座開催の検討にすり替わっていることに誰も気が付いていない様子だった。
数時間に渡って続いたミーティングの最後はユーザが描いたAppleロゴを集めてコンテストを行なう事を決定して終えた。「楽しいイベントになるぞ!」そう言いながら、そもそもの議題が何だったのか覚えているのかどうか怪しい様子で、最近では最もほころんだ笑顔を見せているクック船長を見て、居合わせた多くのメンバー達も笑顔を見せていた。
クパティーノの夕日がクック船長やメンバー達を柔らかく照らしていた。夕日の向こう側に在りし日の総帥の姿を描いている人物がいたのかどうかは分からない。
その数ヶ月の後、忘れられているかと思われたiOSのロック解除画面はちゃっかり新しくなり、解除率が1/85になったかのか、そもそもAppleロゴのカタチをしっかりと覚えて貰えたかどうかは定かではない。
そして、何よりMacやiPod、Apple TVについて言及されなかった事に誰も気が付いていないこと、そして、メンバーの一人が「Appleロゴってパックマンに似てるよなぁ…」と思っていたはここだけの秘密だ。
今この瞬間もクック船長は荒波にも負けず航海を続けている。「僕達の戦いはこれからだ!」クック船長が心でそう呟いているのかどうか、興味があるなら訊いてみると良い。
以上、発信元Ora Duriet Tam iKi Nosu Newsデスク
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